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【数学の学習に主体的に取り組む子どもを育成する指導⑨】学び合い学習その2(全体考察)

  • 問題解決
  • 学び合い
  • 全体考察
  • グループ学習
  • 深い学び
アイキャッチ
目次

はじめに

数学の学習に主体的に取り組む子どもを育成するために、教育現場として取り組むべき課題とは何か。現在、東京都教職員研究センターで東京教師道場の担当をし、指導力向上のためにがんばっている先生方の指導を行っている小宮賢治先生に、この大きな課題を解決するための、指導上の要点や、子どもたちとの向き合い方について、記事をご執筆いただきました。

今回は第9回として、【数学の学習に主体的に取り組む子どもを育成する指導】をテーマにご執筆いただいた「学び合い学習その2(全体考察)」を紹介します。

本記事の執筆にあたっての小宮先生からのメッセージはこちらの記事をご覧ください。
SAMEにおける「数学の学習に主体的に取り組む子どもを育成する指導」の執筆にあたって

学び合い学習その2(全体考察)

今回は、全体考察を通して、子どもたちが主体的に学び合い、学びを深める指導についての話をいたします。

第1に、子どもが相互に学びを深めることができるようにする場を設定する必要があります。そのためには、グループによる子どもの学び合いの結果を全体で紹介して共有する時間を設定する必要があります。

たとえば、第2学年「図形」の「基本的な平面図形の性質」に関する問題として、星形五角形の頂角の和を求める問題に取り組んだとします。解法は平行線の性質を用いるなどすることで、何通りかあります。グループ活動のあと、グループの子どもから取り組んだ内容の紹介をしてもらうことが必要です。グループの数が多い場合は、授業時間の関係ですべてのグループが発表する時間の設定が難しいこともあります。そうした場合でも、自分たちの発表内容は、発表したグループとこの部分は同じで、ここは異なるなどの紹介をしてもらうようにして、すべてのグループの取り組みを紹介できるようにしてください。

第2に、発表内容に対する考察を行い、理解を深める必要があります。

子どもが発表した内容について、拍手をして終わる場面を見かけることがあります。すべての子どもが理解しているかは疑問です。説明の一部を聞き逃してよく理解できていない子どもや発表内容に疑問を感じている子どもがいることも考えられます。そのため、発表した内容について、さらなる理解を図ることが必要です。ここで、教師が説明して理解が図られるようにしようとしないでください。発表した子どものことばをほかの子どもにつなぎ、理解が図られるようにすることが大切です。子ども相互のことばは、子どもによく受け止められるからです。発表内容についての意見が出ない場合は、再度説明をほかの子どもに自分のことばでさせることでもよいと考えます。教師は、子ども相互による学びが深まるように、ファシリテータとしての役割を果たすことが求められます。

第3に、発表内容を振り返り、練り上げを行うことができるように努力してください。たとえば、先ほどの星形五角形の例ですと、1つの頂点に角度を集めて180°を求めている場合があるとすれば、この考え方でほかの解き方がありそうだと子どもから出てくることも考えられます。場合によっては、教師の発問で考えさせることがあってもよいと思います。子どもから、星形五角形の内部、外部のどの点でも、角度を集めて180°をつくることができると考えを深めていくことが考えられます。子どもどうしの間で感動を共有することにもつながります。1つの考え方を、ほかの場面に活用することができることを学ぶ、深い学びにつながることになります。

全体考察による学び合い学習を大切にしてください。


小宮賢治
本稿の執筆者 小宮賢治
公益財団法人 日本数学検定協会 理事

東京都公立中学校長、東京都中学校数学教育研究会会長等を歴任。現在は、東京都教職員研修センター 学習指導員(東京教師道場)として、数学の指導力を高めようとがんばっている先生方の指導を行っています。