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【数検3級】球の体積(誤答分析)

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出題内容

実用数学技能検定(数学検定)3級で次のような問題を出題しました。3級の出題範囲は中学校第1学年から第3学年までで,この問題は中学校第1学年で学習する内容からの出題です。(3)の球の体積を求める問題について,受検者2624人中,正答は1447人(55.1%),誤答は1116人(42.5%),部分点は61人(2.3%)でした。

実用数学技能検定 3級 問題

 

分析結果

球の体積を求める公式は\(\displaystyle V={\frac{4}{3}\pi r^3}\)ですが,誤答分析をすると,公式を誤って覚えていると考えられる解答が数多くあることがわかりました。主な誤答の内容は,球の体積の公式の係数の誤り,球の表面積や円の面積,円周との混同,半径の次数についての誤りでした。これらをまとめると下の表のようになります。この問題は短答式の問題であるため,実際にどのような手順を踏んで得られた解答かは明確でありませんが,このように計算すれば得られるであろうと推定した式を計算式としました。

問題(3) 解答類型一覧

 ①は正答です。

②~㉑は誤答で,②は\(\pi\)の記述がないもの,③~⑤は係数を誤ったと考えられるもの,⑥~⑩は係数の誤りも含めて\(r^{2}\)の計算したと考えられるものです。⑪~⑭は半径を\(4 \mathrm{cm} \)(あるいは公式が直径を用いて計算するものと考えていた)とし,\(r^{3}\)の計算をしたと考えられるもの,⑮~⑲は半径を\(4 \mathrm{cm} \)として\(r^{2}\)の計算をしたと考えられるものです。⑳はその他の誤答,㉑は無解答で,㉒は解答に不備があり部分点となったものです。

②は円周率\(\pi\)の記述がないため,誤答となったものです。⑳その他誤答にも\(\pi\)の記述がない解答が多く見られました。

③~⑤は係数を誤ったと考えられます。\(\displaystyle \frac{4}{3}\)とするところを,③は\(\displaystyle \frac{2}{3}\),④は\(\displaystyle \frac{3}{4}\),⑤は\(4\)として得られる値です。とくに,⑤は球の表面積を求める公式\(S=4 \pi r^{2}\)との混同が考えられます。

⑥~⑲は、rの次数や半径の大きさに誤りが見られます。

これらを係数について見ていくと、⑥,⑫は③と同様,係数を\(\displaystyle \frac{2}{3}\)としています。⑪,⑮は,係数は正しく\(\displaystyle \frac{4}{3}\)を用いています。⑦,⑬,⑯は④と同様,係数を\(\displaystyle \frac{3}{4}\)としています。⑧,⑭,⑰は⑤と同様,係数を\(4\)としており、球の表面積との混同が考えられますが、⑧は半径\(2 \mathrm{cm} \)の球の表面積そのものの値です。

⑨,⑩は円の面積や円周を求める公式と混同したと考えられます。⑩は半径\(2 \mathrm{cm} \)の円の面積または円周の値です。⑱,⑲も同様の誤りで,半径を\(4 \mathrm{cm} \)とする誤りも加わります。

まとめ

このように,球の体積を求める問題では,さまざまな誤答があらわれることがわかりました。公式を正確に覚えることができれば問題ありませんが,忘れたときのために,次のような円錐,球,円柱の体積に関する比を覚えておくと役に立ちます。

すなわち,底面の直径と高さが等しい円柱とそれに内接する円錐および球の体積について,円錐,球,円柱の体積の比は\(1:2:3\)となります。

\[\begin{eqnarray*} V_{1}:V_{2}:V_{3} &=& \frac{1}{3} \times \pi r^{2} \times 2r : \frac{4}{3} \pi r^{3} : \pi r^{2} \times 2r  \\ &=& \frac{2}{3}\pi r^{3}  : \frac{4}{3}\pi r^{3} : 2 \pi r^{3} \\ &=& 1 : 2: 3 \end{eqnarray*}\]


ちなみに,球の体積と表面積について,古代ギリシアの数学者アルキメデスの墓標に,底面の直径と高さが等しい円柱と,それに内接する球において体積および表面積の比がともに\(3 : 2\)であることが刻まれたと伝えられています。